菅野 孝史 (すがの たかし, Sugano, Takashi)   Researcher Information(研究者情報)


専門分野
整数論
研究テーマ
保型形式,保型L関数
研究内容
整数論,特に保型形式について研究しています.保型形式とは,リー群上の滑らかな関数で,大きな離散部分群に関して対称性をもつもので,数論的な情報を豊富にもっています.例えば,任意の自然数は 4 つの平方数の和で表されるというラグランジュの定理が,重さ 2 の楕円保型形式のフーリエ展開から(表し方の個数まで込めて)自然に得られることからも,その一端が垣間見えるでしょう.
数論的な保型形式の空間には,ヘッケ環と呼ばれる大きな環の作用があり,その固有値からL関数(保型L関数)が定義されます.数論的対象からは,様々なゼータ関数・L関数が定義されていますが,保型L関数はこれらを統一する役割を果たすのではと期待されています.
私は主に,直交群やユニタリ群等の古典群について,保型形式の相互の関係や,保型L関数の様々な構成を調べています.更に,非簡約代数群上の保型形式(例えばヤコビ形式)やそのL関数の基本的性質を調べることにも取り組んでいます.
主要論文
  • A. Murase and T. Sugano : On the Fourier-Jacobi expansion of the unitary Kudla lift, Compositio Math. 143 (2007), 1 — 46.
  • T. Sugano : Jacobi forms and the theta lifting, Commentarii Math. Univ. St. Pauli 44 (1995), 1–58.
  • A. Murase and T. Sugano : Shintani function and its application to automorphic $L$-functions for classical groups, I. The case of orthogonal groups, Math. Ann. 299 (1994), 17–56.
  • T. Sugano : On Dirichlet series attached to holomorphic cusp forms on SO(2,q), Advanced Studies in Pure Math. vol.7 (1985), 333–362.
セミナー紹介
整数論には様々な入り口があります.参加者の予備知識や好み・希望に応じたテキストから登り始めましょう.代数的整数論のテキストの他に,保型形式,ゼータ関数,2次形式,楕円曲線,有限群の表現論,超越数などから始めた年度もありました.
近年は,3年次の2,3月に2次体の整数論(これは整数論の故郷で,多くの重要な概念や結果が具体的な形で登場します)についての準備セミナーを数回実施し,春休みにおける勉強の一助としています.[4年セミナーテキスト(最近のもの)]

  • N. Koblitz: p-adic Numbers, p-adic Analysis, and Zeta-Functions, 2nd ed., GTM 58, Springer, 1984.
  • A. Weil : Basic Number Theory, 3rd ed,, Springer, 1974.
  • J. Neukirch : Algebraic Number Theory, Springer, 1999.
  • 加藤和也・黒川信重・斎藤毅:数論 I — Fermat の夢と類体論,岩波書店,2005.

[修論テーマ(最近のもの)]

  • 直交群上の Whittaker-Shintani 関数
  • 楕円曲線の整数論
  • 代数体の相対2次拡大と2元2次形式
  • 正定値2次エルミート形式
  • 3次ユニタリ群上の保型形式の次元公式