名古屋 創 (なごや はじめ, Nagoya, Hajime)
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専門分野
複素領域における微分方程式、可積分系、表現論
研究テーマ
量子パンルヴェ方程式、共形場理論
研究内容
数理物理学における可積分系について、複素解析と表現論を用いて研究しています. 特に, 量子パンルヴェ方程式について研究してきました. 量子パンルヴェ方程式は, 名前の通り, パンルヴェ方程式の正準量子化のことです. パンルヴェ方程式は21世紀の特殊関数と呼ばれるパンルヴェ関数を解として定める2階の非線形常微分方程式です. Fuchs 型方程式と呼ばれる種類の線形常微分方程式のモノドロミー保存変形は非線型微分方程式によって記述されますが, その非自明な最初の例がパンルヴェ方程式です. 考察している対象のモノドロミーが特異点に依存しないという状況は数学の様々な場面で現れることからパンルヴェ方程式はいろいろな数学的対象と結びついています. 例えば, 2次元共形場理論の共形ブロックはモノドロミー不変な関数であり, 2012年にパンルヴェ関数は共形ブロックのフーリエ変換で表せるという発見がありました. また, 退化場を含む共形ブロックが満たす線形偏微分方程式は量子パンルヴェ方程式です. 現在は, 共形場理論とパンルヴェ方程式の関係を中心に研究を進めています.
主要論文
  • H. Nagoya, Integral formulas for quantum isomonodromic systems, Publ. Res. Inst. Math. Sci. 49 no. 4, (2013), 651–678.
  • H. Nagoya, Hypergeometric solutions to Schrodinger equations for the quantum Painleve equations, J. Math. Phys. 52 (2011).
  • H. Nagoya, Quantum Painleve Systems of Type A(1) with higher degree Lax operators, Int. J. Math. 18 (2007), no.7, 839–868.
セミナー紹介
4年生のセミナーでは, 複素領域における微分方程式, 特殊関数あるいは複素解析についてのテキストを選び, 学生による輪講形式でセミナーを行います.

[テキストの例]

  • 原岡喜重, 複素領域における線形常微分方程式, 数学書房
  • 原岡喜重, 超幾何関数, 朝倉書店
  • M. J. Ablowitz and A. S. Fokas, Complex Variables, Cambridge University Press