2024年3月14日(木)

 【日時】2024年3月14日 (木) 16:30–17:30

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】杉山 健一 氏(立教大学理学部)

【タイトル】拡標を用いた2項係数

【要旨】始めに$(1+x)^n$を原点でテイラー展開したときに現れる2項係数とベータ関数との関係を説明する.次にその考察から得られるアイデアに基づいて,$(1+x)^n$のテイラー展開を表現論の立場から見直し,指標による2項係数を定義する.最後に超幾何関数等への幾つかの応用を解説したい.


2024年1月31日 (水)

【日時】2024年1月31日 (水) 16:30–17:30

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】丸山修平氏(金沢大学数物科学系)

【タイトル】拡張不可能不変擬準同型の理論

【要旨】群上の実数値関数fで, f(xy)とf(x)+f(y)が一様な誤差で一致するものを擬準同型という.
擬準同型は微分同相群やファイバー束の特性類, 有界コホモロジー論, シンプレクティック幾何, 幾何群論などいくつか分野で調べられてきた対象である.
本講演では,「正規部分群上の擬準同型が全体の群に擬準同型として拡張出来るか」という擬準同型の拡張問題について最近の進展を紹介する.
本講演は川崎盛通氏(北大), 木村満晃氏(京大), 松下尚弘氏(信大), 見村万佐人氏(東北大)との共同研究に基づく.


2024年11月7日 (火)

【日時】2023年11月7日 (火) 16:30–17:30

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】Pavel EXNER(Department of Theoretical Physics, NPI,
Czech Academy of Sciences, Prague)

【タイトル】Geometrically induced discrete spectrum in soft waveguides and potential well arrays

【要旨】
We consider Schr¨odinger operators with a regular potential extended in one
direction, a potential ‘ditch’ or an array of potential wells, and investigate how can be the geometry of the potential support reflected in the spectrum of the corresponding Hamiltonian. In particular, we provide sufficient
conditions under which a bend of the potential guide or array gives rise to a
non-empty discrete spectrum. We also discuss ground-state optimalisation
in case of loop-shaped configurations, and if time allows, weak-coupling results in this setting.


2023年7月14日 (金)

 【日時】2023年7月14日 (金) 16:30–17:30

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】生駒典久氏(慶應義塾大学)

【タイトル】「Born-Infeld 方程式の弱解の存在,非存在およびその性質」

【要旨】
Born-Infeld 方程式は1930年代に Born と Infeld による研究に端を発する方程式である.元々は電磁気学におけるエネルギーの発散問題を回避するために導入されたものであるが,同方程式は Minkowski 空間において予め与えられた関数を平均曲率として持つ空間的グラフ超曲面の存在問題とも見なすことができる.それ故1970年代, 80年代に微分幾何学の観点からよく研究がされていた.一方,2010年代に入り,Born-Infeld 方程式の外力のクラスと解の正則性について
偏微分方程式の観点から研究されるようになった.

本講演では,Born-Infeld 方程式の弱解に焦点を絞り,弱解の存在の有無,解のグラフが光線を含むか等について最近得られた結果を紹介したい.
なお本研究は, Jaeyoung Byeon 氏(KAIST), Andrea Malchiodi 氏(Scula Normale Superiore), Luciano Mari 氏(Università degli Studi di Torino)との共同研究である.


2023年4月26日 (水)

【日時】2023年4月26日 (水) 16:30–17:15

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】杉山真吾氏(金沢大学理工研究域)

【タイトル】「保型形式とL関数の多角的研究について, これまでとこれから」

【要旨】
講演者が最近研究しているL関数に関する現象についてお話ししたい.
20世紀末にKatz, Sarnakは,
「L関数の族の零点分布とランダム行列の固有値分布の間には対応がある」
という密度予想を提唱した.
そしてさまざまな数学者らによってこの密度予想の傍証となる現象が観察されてきた.この講演では重み付き密度予想を提唱し, この予想の傍証となるL関数の族をいくつか紹介する.本研究の一部はAde Irma Suriajaya(九州大学)との共同研究である.また, 自己紹介を兼ねて講演者がこれまで研究してきたことや将来の展望などもお話しする予定である.
————————————————————————————————————————————


【日時】2023年4月26日 (水) 17:30–18:15

【会場】金沢大学自然科学5号館 コロキウム室3(数学・管理棟 4階)

【講演者】榊原航也氏(金沢大学理工研究域)

【タイトル】移動境界問題の構造保存型数値解析

【要旨】
シャボン玉,油滴など,身の回りには時々刻々と変化する物体が存在する.そのダイナミクスは界面(曲線や曲面)の時間変化により記述され,それを調べるのが移動境界問題である.本講演では,特に平面閉曲線により記述される移動境界問題に対して,その変分構造やエネルギー構造を保存する離散化である構造保存型数値解析について,講演者が今までに得られた結果を概説する.また,最適輸送に基づいた数値解析についての個人的な展望についても言及したい.